中国の反日デモに想う
4月にはいり、中国各地で勃発している「反日デモ」。
7~8年前に、出張で何度か行った北京。当時のことを思い出した。
それは、5月2日の朝のことだった。
新しい百貨店を開店させるために、現地で打合せを予定していた。
しかし、事務所に入るなり、いきなり沈滞した、険悪なムード。
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当時は、日本から、3~4名の社員が現地に入りこみ、現地法人をつくり
中国の従業員と準備をすすめていた。
私は、あくまでもマーケティングのサポートとして、適時現地にはいり、
開店をサポートする役割だった。
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その険悪なムードは、前日が5月1日という「メーデー」にも関与していた。
日本人経営者に対して、地元中国人が反旗を翻したのであった。
「日本人は、リベートを会社に計上しろ、というが中国では仕入担当者が
もらってもいいことになっている」
とか、日本のやり方に対して、不満を爆発させたものであった。
その議論は休むことも無く朝から昼過ぎまで続けられた。
印象的だったのは、中国人の通訳の女性。
途中、つらくなって泣き出してしまったのだ。
「○○は悪くない。どうしてみんな○○を攻めるのか?」
「同じ中国人なのに、酷いことを言っていて悲しくなる」
(○○は当時私が在籍していた日本の会社から派遣された現地責任者)
当時、結果的にどのようになってこの話が終わったかよくは覚えていないが、
通訳が十分できなくなり、一度解散したと記憶している。
通訳の女性は本当に聡明で、かわいらしい中国女性で、旧正月のときに
うれしそうにお土産を買って里へ帰るという、とてもやさしい女性だった。
当時も、かなり日本人に対する抵抗は強かったのだとは思う。
しかし、この通訳のようなとても聡明な子も多いのだと思う。
それが、昨今のヒステリックなデモのように、参加して、物を投げるのが
ひとつの楽しみのような、そのような状況が残念でならない。
今でも思い出すが、出店した土地は北京中心部から車で1時間程度はなれた
ところで、その行き来に、車の中から見た、黄色い大地、赤い夕焼け、
あの広い雄大な土地と、今の中国の言動が結びつかない。
最近の中国は、サッカーのアジアカップもそうだったが、国土の広さ
懐の深さに反比例し、心の小ささや狭さを感じずにはいられない。
北京オリンピックが開かれるそのときまでに、なんとか、変わってほしいと
思っているのは、私だけではないだろう。